ある程度年齢を重ね、やっと自分らしいおしゃれが出来る、してもいいんだ、となった時、
周りを見渡すと洋服は世の中に溢れている。。。
でも、何を着ればいいのかわからない。。
そんなお客様の「私たち、これから何を着ればいいの?」にお応えしたい!との思いで5年前にsajiは誕生しました。
今コロナ禍の中、おしゃれの意味や目的とは何なのでしょう。
日々考えています。
お洋服を買う時間も、クローゼットに仕舞う時間も、明日着るお洋服を選ぶ時間も、
幸せな気持ちになれますように。。と願ったsajiの想いはもちろん今も変わっていません。
この5年間、sajiでは様々なブランドをご紹介してきました。
デザイナーとはどんな方で、どんな事を思っているのだろう?
それ、気になりますよね。
前置きが長くなり申し訳ありません。
特別企画【「helder」 デザイナーに聞く。】
helder(エルデール)
made in Japanにこだわり、大人が着られるフレンチベースの上質な服に、今のモード感をプラス。
上質な天然の素材、丁寧な縫製、着心地の良さ、着用時のラインの美しさ。
高い技術をもつ熟練職人が、細部まで丁寧に一枚一枚仕上げています。
デザイナーを志したところから、今のお気持ちまで門脇が聞きました。
どうぞごゆっくりお読みください。
ーデザイナーというお仕事を選んだのは何故ですか?
僕が洋服を好きになったのは中学生くらいからです。
高校を卒業する時に洋服屋になりたいなと思い、その時は洋服屋さんって知っているお店の販売員さんしか見たことがなく、結果販売員さんになりたいと思っていたんです。
高校を卒業して東京に出て、同じことを思っている友達と知り合ったりするうちに、洋服を作るのも良いな。と思い始めました。
1日も早く洋服に触る仕事がしたいと思い、この業界に入りました。
最初は、自分がオシャレをして人から「カッコいい」と言われたいという気持ちが大きかったのですが、年月を重ねていくうちに着ていただく楽しさが膨らんで、今では皆さんに喜んでいただけることが嬉しくてこの仕事を続けています。
ー販売員さんだったこともあるのですか?
それはないんです。
服に触っていられる仕事を目指していたら、物作りに行き着いたという感じです。
ーhelderを立ち上げたのはお幾つの時ですか?
39歳の時です。
ブランドを持ったのは遅い方かもしれません。
それまでは色々なブランドに所属しデザインをしてきましたが、
それぞれのブランドのコンセプトの中でやっているうちに、合致しない部分がだんだん出てきて、自分のブランドを持ちたいという気持ちでhelderを作りました。
結局着るのも作るのも服が好き、それに尽きます。
アトリエの写真。ご自宅にアトリエをお持ちです。
ーhelderというブランドに込めている想いを教えてください。
どういう人に、どのように着てもらいたい、と思っているのでしょうか。
今洋服は世の中に溢れています。
価格的にはhelderの商品は決して安くないというのはわかっているのですがかといってよそゆきとして着ていただきたいのではなく、本当に普段着としてヘビロテして着ていただくのが、僕は嬉しいと思いますし、デザインもおのずと普段着感覚で作っています。
一番は気持ちの良い素材。
パターンが綺麗に見えるシルエット。
それをお客様に体感していただきたくて、オーダーメイドの服とは違いますが、限りなくそれに近い、袖の通し易さに拘っています。
ー多分そこがsajiの想いと一致しているところで、sajiも普段着や日常着として提案したいと思っています。
でもどこに着て行っても恥ずかしくないし、着ていて誇らしいというか、心の中で今日私helder着ているんだ、と思うと自信が湧いてくるというお客様からの声もありました。
ー武田さんが服作りをするに当たって影響を受けた人や物はありますか?
特にこの人ってピンポイントな方はいないのですが、
僕が洋服を好きになった当時はここまで洋服がこんなに無かったです。トラッドとかアイビーとかVANジャケットがうっすら存在していた時代で、その辺から洋服が好きになったのですが、アメリカントラッドとかフレンチアイビーとか、お金持ちの家のお子さんが普段着としてカジュアルを着るのだけれど、やはり金銭的な背景とか、クラス感が表に滲み出てきて、ただの洗い晒しのシャツでも決して下品にならない、すごく清潔感があるというところに憧れたんです。
helderはそんな服作りをしていきたいし、そういったスタイリングを見ると共感出来ますし、自分で思いつかなかったコーディネートもそんな雰囲気にマッチしているとすごい素敵だなと思います。
街を歩いている人のスタイルや、雑誌やネットで得る今のファッションの影響や、
勤めていた時に知り合った上司や同僚、工場さんの方々など色々なところで物作りに対する姿勢、本物の作り込みの良さや大変さは影響を受けています。
ー今は来シーズンのコレクションのアイデアを頭の中で膨らませているところだと思いますが、そのインスピレーションはどこから得ているのでしょうか?
まさにモードと言われている写真とか、パリコレなどの写真を目にします。
今のモード感などはすごく大切だと思っていて、一応目は通します。そこで時代感というか、素材の雰囲気、シルエットの雰囲気はうっすら読み取りたいなと思っています。
具体的に物としてデザインの元としているのは、古着やミリタリーや昔のシャツの柄など古いものからインスピレーションを得ることが多いです。
ー昨年からコロナになり、コロナ禍以降服作りに対する考えは変わりましたか?
根本的なところは全く変わっていないです。
ただコレクション全体としてはより普段着感が強くなっていると思っています。
お家で洗える素材を多めにしていたり、ウエストをゴムにして楽に過ごせるようにしていたり秋冬でも、カットソーアイテムを作ったりと、着ていてラクチンな物が多くなっています。
ー今の時代お客様に支持されて求められる服とはどんな物だとお思いになりますか?
なかなか難しいですよね。
正解は見出せないでいます。
インターネットでお買い物をされる方が増えていますし、そういう意味ではプライスがお安い洋服なども売れていくのかもしれません。
でも、やはり一つは自分の気持ちをあげられる洋服と言いますか、
先ほど門脇さんもおっしゃっていましたが、今日これ着てるんだ!という高揚感を届けられる洋服が残っていくのだろうと思います。
もちろんその中でもお仕事用だったり、カジュアルだったり、フォーマルだったり色々ありますが、その中でもちょっと外にも出掛けられるお家着に比重がかかってくるのだろうと思います。
やはりマインドとして着てて気分が上がる、そんな洋服が今後残ると思いますし、そこを頑張り追求していきたいと思っています。
リモートインタビュー中の武田さん。
ーお店としてもそこの部分がないと喜んでいただけないと感じています。
あまりにもお家着って、そこまでいらないじゃないですか。
お家時間は大切ですが、人と会うこともできない、外で食事をすることも出来ないとなった時、でも外に出かけることはどんな方でもあるから、そんな時自分をウキウキさせてくれる服が望まれている服なのではないかと思っています。
ー武田さんが思われる大人の女性のおしゃれとは、をお聞かせください。
コンサバって言葉が的確かは分からないですし、コンサバっていうと今の時代少しダサい印象がお客様にあるのかもしれません。
ですがコンサバティブ自体は決して悪い物とは私は思っていなくて、とんがっていればいいみたいなオシャレは私は好きではないんです。
先ほどお話ししたトラッドスタイルに象徴される、育ちの良さがにじみ出るようなスタイリングが私は一番素敵だと思います。
そしてベーシックなのだけどTPOが一番大切なので、やはり場所をわきまえたスタイリングですね。
その年その年に合ったトレンドの雰囲気ってのがあって、普通のものなんだけど色の合わせ方とか、ボリューム感の合わせ方が今年っぽいっていうのがどんなデザインよりも私はオシャレだと思っています。普通のものをサイズや色を変えることで今年っぽく着ている方が私は一番素敵に見えます。
ーそれでは最後にエルデールを大好きなお客様に一言お願いいたします。
こんな小さいブランドをsajiさんを通じて見つけてくださって気に入ってくださって、本当にありがとうございます。
helderを好きでいてくださるということは、きっと私と同じような服がお好きなんだろうなあと思います。
ベーシック。。
普通という意味ではないベーシックをきっと上手に着てくださっているお客様なのかと想像しています。
これからもhelderの商品に限らずたくさん袖を通していただいて、ワクワクするファッションライフを日々過ごしていただきたいと思いますし、微力ながら私も1年の中で1枚でも2枚でもそれにご協力できる素敵なものを作っていきたいと思っています。
ーありがとうございます。
helderファンのお客様、たくさんいらっしゃるんです。
helderのお洋服しか買わない(笑)とおっしゃるお客様もいらっしゃいますし、いらっしゃる度に「あそこのブランドは今はないの?」と必ず聞かれるお客様もいらっしゃいます。
そういうお客様って先ほど武田さんがおっしゃっていた、いい意味でコンサバなお客様が多いのかもしれません。
でもちょっと変わりたいとか、少しだけいつもと違う自分になりたいとか、ウキウキしたいとか、そんなときにhelderの服に袖を通すのかなと思います。
これからもどうぞ素敵な服を作ってくださいね。
武田 信一郎/sinichiro TAKEDA
国内のいくつかのアパレルメーカーでレディース・メンズそれぞれチーフ職まで経験し2006年に独立。
2008FWシーズンよりhelderを始める。
ヴィンテージやミリタリーなどへの造詣も深く、デザインだけではなく素材や裏仕様までもが本物に由来するものである。